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石膏ボードとはどんな建材?
プラスターボードとの違いや種類・処分方法を解説
石膏ボードは現代の建築物には欠かせない存在で、現場でも目にする機会が多い建材です。
建築物に必要不可欠な石膏ボードにはどんな種類があって、それぞれどんな特徴を持つのかが気になる方も多いでしょう。
この記事では、石膏ボードとはどんな建材なのか、種類や用途を含めて解説します。また、プラスターボードとの違いや処分方法もあわせて解説します。
石膏ボードを詳しく知りたい建築・建設業界の方はぜひ参考にしてください。
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石膏ボードとは|プラスターボードとの違い
石膏ボードとは、石膏を芯材として両面を石膏ボード用原紙で覆った建築用の内装材のことです。
石膏とは、硫酸カルシウムが主成分の鉱物で、鉱山から採掘される「天然石膏」と人工で作った「化学石膏」が存在します。石膏ボードは防火性や遮音性など様々なメリットを持ち、建築物を作る上でなくてはならない存在です。
なお、石膏ボードは「プラスターボード」とも呼ばれます。石膏ボードとプラスターボードは厳密には違う建材ですが、建設現場では同じものとして取り扱われることが多いです。
石膏ボードの種類・用途
石膏ボードは用途や特徴により、以下のとおり10種類に分かれます。
- 石膏ボード
- 普通硬質石膏ボード
- シージング石膏ボード
- 強化石膏ボード
- 構造用石膏ボード
- 石膏ラスボード
- 化粧石膏ボード
- 不燃積層石膏ボード
- 吸放湿石膏ボード
- 吸音用あなあき石膏ボード
それぞれの特徴や用途を詳しく紹介します。
石膏ボード(GB-R)
名称 |
石膏ボード |
JIS記号 |
GB-R |
厚み |
|
用途 |
|
「石膏ボード」は、石膏を芯材として表面をボード用原紙で覆った建材です。最もスタンダードなタイプの石膏ボードで、「普通ボード」とも呼ばれます。
厚みは9.5mm、12.5mm、15.0mmの3種類あり、主に壁や天井の下地材として使われます。
普通硬質石膏ボード(GB-R-H)
名称 |
普通硬質石膏ボード |
JIS記号 |
GB-R-H |
厚み |
|
用途 |
|
「普通硬質石膏ボード」は普通の石膏ボードよりも強く、曲げても壊れにくい特徴を持ちます。石膏ボードに比べて1.3倍以上硬く、耐衝撃性が強化石膏ボードの1.2倍以上です。
厚さは9.5mm、12.5mm、15.0mm の3種類で、間仕切りや腰壁など、石膏ボードよりも幅広い用途で使われます。
シージング石膏ボード(GB-S)
名称 |
シージング石膏ボード |
JIS記号 |
GB-S |
厚み |
|
用途 |
|
「シージング石膏ボード」は表面のボード用原紙や芯材である石膏に防水処理を施した石膏ボードです。水に濡れた時に石膏ボードに比べて強度が下がりにくい特徴を持っており、「防水ボード」や「耐水ボード」とも呼ばれます。
厚さは9.5mm~16.0mmの間で4種類あり、キッチンや洗面所など水回りの壁や外壁下見板として使われます。
強化石膏ボード(GB-F)
名称 |
強化石膏ボード |
JIS記号 |
GB-F |
厚み |
|
用途 |
|
「強化石膏ボード」は石膏ボードの芯に無機質繊維を混ぜ、普通石膏ボードに比べて耐火性、耐衝撃性を上げたタイプです。
耐火性は「破断して落下しない」が基準です。耐衝撃性は、衝撃を受けた際のくぼみが25mm以下で、亀裂が生じた際に貫通しないことを基準とします。
厚さは12.5mmから25.0mmまで6種類あり、壁・天井の下地材や準耐火・耐火・遮音性を備えた構造の構成材として使われます。
構造用石膏ボード(GB-St-A・B)
名称 |
構造用石膏ボード |
JIS記号 |
GB-St-AもしくはB |
用途 |
|
「構造用石膏ボード」は、強化石膏ボードの機能を持ちつつ釘側面抵抗を高めたタイプの石膏ボードです。その特徴から、耐力壁用の面材に使われます。
釘側面抵抗とは、ボードを柱や胴縁に釘で固定する時、外から力が加わっても壊れずに耐える力をさします。
構造用石膏ボードはAとBの2種類に分かれます。以下のとおり、それぞれ普通石膏ボードと比較した際の釘側面抵抗に差があります。
- A種:釘側面抵抗が3倍
- B種:釘側面抵抗が2倍
石膏ラスボード(GB-L)
名称 |
石膏ラスボード |
JIS記号 |
GB-L |
厚み |
|
用途 |
石膏プラスター塗装の下地材 |
「石膏ラスボード」は、石膏ボードの表面に長方形のくぼみをつけたボードです。石膏ボード用プラスターの塗下地として使いやすく加工されており、例えば和室の塗り壁の下地として使えます。厚みは9.5mmと12.5mmの2種類です。
化粧石膏ボード(GB-D)
名称 |
化粧石膏ボード |
JIS記号 |
GB-D |
厚み |
|
用途 |
|
「化粧石膏ボード」は、化粧加工した石膏ボードの総称です。和洋室に合うようデザインされており、主に室内の壁や天井の仕上げ材として使用されます。
具体的には、化粧加工した紙やプラスチックシート、塗装、型押しなどで加工したタイプがあります。厚みは9.5mm、12.5mm、15.0mmの3種類です。
不燃積層石膏ボード(GB-NC)
名称 |
不燃積層石膏ボード |
JIS記号 |
GB-NC |
厚み |
9.5mm |
用途 |
|
「不燃積層石膏ボード」は表面を不燃性の原紙で覆った石膏ボードで、建築基準法で定められる不燃材料に適合します。
化粧ありと化粧なしの2パターンがあり、化粧ありのボードは仕上げ材として、化粧なしのボードは下地材として使えます。厚みは9.5mmの1種類だけです。
吸放湿石膏ボード(-Hc)
名称 |
吸放湿石膏ボード |
JIS記号 |
-Hc |
用途 |
|
石膏ボードの機能を維持したまま、吸放湿性の値を150以上に高めたものを「吸放湿石膏ボード」と呼びます。
それぞれの石膏ボードのJIS記号の末尾に「-Hc」がついていたら、吸放湿機能があるとわかります。吸放湿性能付きの壁・天井の下地材や仕上げ材として活用できる石膏ボードです。
吸音用あなあき石膏ボード(GB-P)
名称 |
吸音用あなあき石膏ボード |
JIS記号 |
GB-P |
用途 |
|
吸音用の穴を開けて加工した普通石膏ボードが「吸音用あなあき石膏ボード」です。
発された音が穴を通る時に摩擦が生まれて吸音される仕組みで、学校の音楽室や会議室など、吸音が必要な室内で天井の仕上げ材として使用されます。裏打ち材を張り付けて使うケースもあります。
石膏ボードのメリット
石膏ボードは機能によって種類が分かれると紹介しました。建築物には欠かせない石膏ボードですが、下地材や仕上げ材として石膏ボードを使うメリットは以下の5つです。
- コストが低い
- 施工しやすい
- 防火性がある
- 遮音性がある
- 寸法が安定している
石膏ボードはかかるコストが低いにも関わらず、防火性や遮音性など機能性の高さが最大のメリットです。ボードを複数枚重ねたり、厚みのあるタイプを選んだりすれば、機能性をより高められます。
また、石膏ボードは特殊な工具が不要で文具のカッターでも加工でき、寸法の安定性も高いです。石膏ボードが施工しやすい点も建材として普及したひとつの理由でしょう。
石膏ボードのデメリット
メリットの多い石膏ボードですが、デメリットも3つ存在します。
- 衝撃に弱い
- 湿気や水気に弱い
- 釘やネジの固定に専用金具が必要
石膏ボードは人や物がぶつかるなど衝撃が加わると大きく破損したり、穴が開いたりするケースがあります。
また、梅雨や台風シーズンなど湿気の多い時期やキッチンや洗面所などの水回りでは、防水加工なしの石膏ボードだとカビが生える可能性があるため注意が必要です。
ネジや釘で壁に家具の固定や棚の取り付けをしたい時も、石膏ボードは向きません。ネジや釘を刺しても支えるものの重さに負け、ボロボロと石膏が崩れてきたり大きな穴が開いてしまったりします。
石膏ボード専用のアンカーもありますが、重いものは支えられない可能性が高いです。
石膏ボードの処分方法
石膏ボードは取り扱い方によっては人体に有害な硫化水素が発生するため、産業廃棄物として取り扱わなければなりません。
石膏ボードを処分する際は正しく行わないと、法律で罰せられることがあります。石膏ボードを処分する方法は、主に以下の2つです。
- 最終処分場に持っていく
- 専門業者に依頼する
少量の石膏ボードでも、必ず上記の方法で処分しましょう。それぞれの処分方法を詳しく解説します。
最終処分場に持っていく
産業廃棄物の処理ができる最終処分場に、廃棄する石膏ボードを持ち込む方法です。
最終処分場に持ち込む際には、「マニュフェスト伝票」と呼ばれる書類に石膏ボードの排出日時や排出事業者名(個人事業主名)を記載して持って行く必要があります。
専門業者に依頼する
専門業者に依頼して不要な石膏ボードを廃棄する方法です。
自分で最終処分場に持ち込むよりも手間がかからないため、初心者におすすめです。
ただし、専門業者に依頼する場合は、産業廃棄物回収業者として自治体から認可を受けているか必ず確認しましょう。
また、認可を受けている業者でも、産業廃棄物を適切に処理している業者なのか見極めて依頼してください。
日本の法律では「排出事業者責任」といって、産業廃棄物を排出した業者にも責任があるとされています。つまり、無認可の業者に依頼した場合や依頼先の業者が産業廃棄物を適切に処分しなかった場合、依頼元の業者も罪に問われる可能性があります。
最大で5年以下の懲役または1000万円以下の罰金又はこの併科が科せられることがあり、世間的な信用も失うでしょう。業者に石膏ボードの処分を依頼する場合は、信頼できる業者を選んでください。
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石膏ボードの種類と特徴を知って適材適所に活用しよう
石膏ボードの種類やそれぞれの特徴、処分方法を解説しました。石膏ボードは耐火性や遮音性に優れ、施工の簡単さなどメリットが多く、建築現場では重宝される建材です。
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監修者情報
野村 正樹 (のむら まさき)
(株)ローバー都市建築事務所 代表取締役
一級建築士 / インテリアコーディネーター / 宅地建物取引士 / 古民家鑑定士一級
同志社大学法学部を卒業後、京都工芸繊維大学造形工学科へ編入学。(株)NEO建築事務所を経て、2000年「ローバー都市建築事務所」設立。後に、京都工芸繊維大学大学院建築設計学 前期博士課程修了。2006~2018年 毎日新聞京都版 朝刊「きょうと空間創生術」第1回~第274回執筆掲載。
ローバー都市建築事務所の公式ホームページはこちら
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